わたしの、ものさし

私の見たこと、聴いたこと、感じたこと、を書いています

メキシコのララムリ族と加藤君

 メキシコにララムリ族という素朴な暮らしをする民族がいて、山岳を舞台にするマラソンレースにその民族の方が参加した。スポーツウエアとランニングシューズの出で立ちではない。民族衣装というか、とにかくマラソンをする格好ではなくて、靴もサンダルだ。そして、上位をその民族の選手が獲得。そのため、マラソンの世界ではその民族が一躍有名になっているようだ。

 そのララムリ族はメキシコの山岳地域で暮らし、日々、山道を生活のために何キロも歩いている。標高がやや高い地域であり、日常の生活自体が低酸素の負荷がある中で、山岳レースのトレーニングになっているということだ。

 ララムリ族の選手たちは、特にマラソンの練習はしていない。しかし、スカート姿とサンダルで走ったララムリ族の女性が優勝したことさえある。

 このことを知った時、私は高校時代の同じクラスの加藤君を思い出した。

 彼は写真部だった。写真部といえば運動の疎く、体育系部活の人よりも体力に劣るというのが相場だ。しかし、高校行事のマラソン大会で、確か3位になった。かれは基礎体力、そもそもポテンシャルが高かった。見た目は確かにワイルドで豪快なところがあった。通学は自転車だったと思う。

 とにかく、息巻く野球部、サッカー部、ラグビー部を差し置いて、加藤君が3位に入ったことは珍事だった。地味でスポーツ的に無名だった彼が上位になったことについて校内で話題になったのか、なんとなく黙殺されたのかは記憶にない。

 さて、メキリコのララムリ族。

 こういう方たちを見ると、ヒトの強さの可能性を感じるし、いわゆる先進国で近代的なトレーニングメニューを一生懸命こなす選手たちは何なのだろうと思う。いわゆる恵まれた文明生活を私は捨てるつもりはないが、文明とか便利さから遠い人ほど、ヒトの本来の強さを引き出し開花させることができるのだと感じる。