わたしの、ものさし

私の見たこと、聴いたこと、感じたこと、を書いています

一言の重み

 端的に言えば、人は、相手が何を考えているのか分からない状態が怖いのだと思う。

 

 職場に苦手な人がいて、その人はとにかく無口で、余計なことを一切しゃべらない。職場では、余計なことはしゃばらないことは悪いことではないのだけど、以前は挨拶の声も小さくて、挨拶ができないのかと思ったし、仕事上の会話も声が小さいうえに言葉足らずだったりするから、正直イライラしてしまうところがある。

 そんな感じなので、当然、世間話や個人的なことの話を自分からすることは一切ない。職場で個人的な話を披露する義務はないし、世間話をしなければいけないこともない。それはそうなのだけど、無駄話は人と人が集う場における不条理な潤滑剤になっているのは、否定できない事実である。

 そんな同僚を、とにかく苦手だと思っているが、これって「その人が何を考えているのかが分からない恐怖」が根底にあって、良く思えないのだと気付いた。

 その人の考えていることの本当のところは、会話をしたって分かりはしないのだろうけど、世間話なで、なんとなくその人を分った気になれることって大事なのだ。

 

 そんな同僚が、ある日、自分の言いたいことで言いづらいことを一言で発言したことがあった。その一言でもって、ああ、この同僚も自分を同じような感覚を持っているのか、と確認が一瞬で出来て、苦手意識が薄らぎ、距離が縮まった気がした。

 たった一言が、状況を大きく変えてしまうことってあるのだな。