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貝原益軒の「養生訓」は、現代でも通用する健康指南書

 日本史の教科書に登場する貝原益軒の「養生訓」を、ふとしたきっかけで読んでみようと思いたち、図書館で借りた。

 

すらすら読める養生訓

すらすら読める養生訓

 

 

「すらすら読める養生訓」は、本当にすらすら読めた。

 感想を簡単に言えば、健康への気遣いとか健康のコツは、江戸の昔から今と変わらないし、現代でも十分通じるノウハウ。もっといえば人生哲学が書かれている。

 まず冒頭から目からうろこだった。

 「老い」とは江戸時代では現代ほど嫌われていなかった。むしろ尊厳の対象であり、幕府や村の役職も、「大老」、「老中」、「年寄」とされている。「老」は年齢的に高齢という意味ではない。「知恵のある有能な」という意味合いが、江戸時代の「老」にはあった。老いを良い意味で捉えていたのが前提。

 ゆえに人生の前半ではなく後半に本当の幸せや楽しみがある。そのために健康を維持し長生きをしよう、そこで「養生」が若いころから大事だと繋がる。

 興味深いのは東洋的な哲学を軸にして、当時入り込んできた目新しい西洋医学をやや斜に構えて見ているスタンス。特に薬は使うな、というくだり。

 また、養生というからには、まず食事や肉体管理から始まるかと思いきや、最初は心の養生から始まるあたりに感心してしまう。そういう点でも現代の健康書として十分に通用する。

 病気は自然に治るものが多い。死病は薬を用いても治らない。薬の多用はかえって悪化をまねくことが多い。この辺は、医療過剰?の現代では顧みる必要があるかもしれない。

自分の体の治癒力を高めることを常として、「静養して待つこと」が病気への対処として重要とする。そもそも病気にならないように気を養うことがもっとも大事。そんなことが養生訓に述べられてる。

 養生訓に出てくるキーワード「気をめぐらす」「元気を養う」「呼吸を整える」などは、ヨガにも通じる。具体的な養生の道は、多くの人に「養生訓」で読んでいただきたいし、読む価値があると思う。