ツイードジャケットを誂える
40も半ばの歳になって、ツイードジャケットにハマった。
数か月前に、突然、ツイードジャケットが自分の琴線に触れた。まるで恋に落ちたような感じに。
職場はジャケパンOK。なので、ツイードジャケットはオンオフ幅広く着られ、なにより暖かく防寒性に優れ、しかも丈夫で生地に味があるのが魅力。
ただし、一昔前のモデルのラインは、ゆったりめなので自分の好みに合わない。今風の、体にフィットしたシルエットがいい。既製品をあちこち探し回り、挙句に妥協して不満を残すよりも、自分に合った納得のいくものを持ちたい。
そういうわけで、最初の1着は、テーラーでオーダーすることにした。値段はそれなりにするが、結局、長く使えるので、テーラーで誂えた方が割安だ。
テーターは、アクセスのよいテーラー渡辺とした。
お店は小さいながらも、生地見本がたくさん並ぶ。生地は「ハリスツイード」を選んだ。ツイードジャケットを手に入れる前に、関連の本を読んで勉強した。ツイードには種類がある。日本で知名度があるのはハリスツイード。そのほかにもドネガルツイード、シェットランドツイードなど、イングランド産のツイードはいくつかある。日本で種類が多くて生地を選べるのがハリスツイード。色は汎用性の高いネイビーの無地。
体を採寸していただき、袖口の始末、袖やラペル幅、着丈、胸周りのフィット感の意向を伝えて、待つこと約1か月(この待つ時間も楽しい)。重厚なハリスツイードのジャケットが仕上がった。袖がジャストフィットでシャープな感じでとても気に入っている。
ジャケットは、既製品でもジャストにフィットすればいいけど、1着は、テーラーで採寸しディテールを打ち合わせて、仕立ててもらうべきだ。自分のために作られた服は、既製品と違うオーラがある。
三つボタン段返り。水牛のボタン。好みはセンターベントで、着丈はやや短め。アームホール、袖も細めにしてフィットさせる。ラペルはノッチで幅は標準的な7cm。
全体の雰囲気はイギリスの雰囲気を出していただく。
採寸してジャストな袖丈にはドクタースリーブ(本切羽、本開き)。
裏地はキュプラで台場仕立て。
ハリスツイードのシリアルナンバー入りのタグが付く。
チェンジポケットにハッキングポケットなども考えたが、シンプルにした。
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テーラー渡辺さんには、いろいろと細かいところまで意向を汲んでいただき、ありがたい。テーラーは敷居が高いと思っていたが、店主がユニークな方でいったん踏み込んでしまえばリラックスしてやり取りできる。
ツイードは、メルトンのコートまではいかないが、ふつうのウールジャケットよりも厚手で保温性が高い。都心の冬ならば、中に薄手のカーディガン、マフラーと手袋があれば、コートは不要なくらい温かい。
ツイードは、色や織柄(定番のヘリンボーンなど)のパターンが豊富で、それぞれ雰囲気が大きく違うので、今後いくつか揃えたい。
ツイードジャケットが好きでハマる人は、いくつも買い揃えてしまうようだが、その気持ちはとてもよくわかる。
私の冬の装いの趣味が、ガラリと変わったこの冬である。