わたしの、ものさし

私の見たこと、聴いたこと、感じたこと、を書いています

喫煙所の聖者

 通勤途中に、いつも立ち寄る喫煙所がある。

 だいたい同じ時刻に着くので、吸っているメンバーもだいたい同じ。もちろん、知らない方たちだが、顔だけは馴染みになる。

 その中で聖者のような方がいる。

 喫煙所によく見られる悪い現象として、空になった飲料缶の放置だ。一服しながら缶コーヒーを飲んで、そのまま喫煙所に置く(捨てる)輩がいる。その喫煙所にも、いくつか空き缶が放置されていることがある。

 その聖者は、タバコを吸い終わるといくつか空き缶を拾っていく。他人の捨てたゴミを拾って、適切な場所に捨てているのだ。おそらく愛煙者として喫煙所を綺麗に使いたい、ゴミがたまることで喫煙所が廃止されるのを防ぎたい、喫煙者の良心と矜持によるものか、いずれにしても、余裕のない朝の通勤時に、なかなかできない行為である。

 

 今日は、その聖者の、さらなる聖者ぶりを目の当たりにした。

 聖者が一服しながらカップ式のカフェオレか何かを飲んでいた。その微かな甘い香りに誘われたのだろうか、大きなアブのような虫(とにかく害のありそうなヤバそうな虫)がカップの側面に止まった。最初スズメバチかと思ったほど、大きなアブのような虫である。ふつうならば驚き狼狽してしまうだろうが、さすがは聖者だ。そのアブのような虫を認識しながらも、まったく動じずにカップの飲料を飲んでいる。虫と顔が接近するのにだ。聖者は、静かに息を吹きかけて虫を飛ばそうとするものの、虫は飛んで行かない。私は、聖者に気を使って、見て見ぬふりをしていたが、聖者の動きは、あくまでゆったり、動じずで、紅葉した木の葉が落ちてきたかくらいの雰囲気である。

 かくして、聖者は、ゴミである空き缶2つとアブのような虫がとまったカップを持ったまま、駅へ向かってゆっくり歩いて行った。こういう方もいるのだ。

 今度、機会があったら、その聖者に話しかけてみよう。

秩父今宮神社

 

 秩父鉄道の1日フリーパスは使いようによってはかなりお得で便利。電車の本数が少ないので、時刻表を眺めながら計画を立てて活用したい切符。

 関東三十六不動巡り、29番(洞昌院:秩父鉄道野上駅)と30番(総願寺:加須駅)を同じ日に巡るプランの中で、秩父鉄道1日フリーパスを利用し御花畑駅で降り、秩父今宮神社に立ち寄った。御花畑駅からレトロな商店街を通り徒歩で10分程度で到着する。

  

 この神社に惹かれた理由は、修験道の祖、役小角が祀られているから。役小角が祀られていて御朱印をいただける場所は、関東近辺ではあまり見かけない。

 今宮神社は神仏習合の典型的なところで、神道の神様、仏教竜王、稲荷、修験道役小角と多種多様に祀られている。

 

まずは、本殿のお宮。

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そして、役小角である神変菩薩のお堂。ここは念入りに手を合わせた。超人的な身体能力を持つ修験者、役小角にあやかりたい。

 

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八大竜王を祀るご神木。

確かに巨大なケヤキで、ここまで大きいと神秘的。神がかり的なものを感じる。

御神木にハートの洞があり、それを見つけて携帯の待ち受けにすると良縁に恵まれるのだとか。ハートの洞はすぐに見つかった。

 

 

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 御朱印は、ごらんのとおり4種類をいただいた。

こじんまりとした境内だが、気持ちの良い境内だった。

 

秩父は古くから巡礼の地で、古刹が多い。

今回は関東三十六不動めぐりで加須へ向かうため、秩父今宮神社のみの訪問となった。

 

 

 

 

関東三十六不動 29番 洞昌院

 その2。関東三十六不動の29番 洞昌院 

 

 休暇を取って関東三十六不動めぐりの秩父編。

 今年はずっとドタバタして、有給休暇をほとんんど取れておらず、もっと消化しようというのと、気候のよい時期に関東三十六不動を巡っておきたいという思惑から、今回の秩父行となった。

 やはり平日は人が少なく、落ち着いていて気持ちが良い。

 

 さて、関東三十六不動は、住んでいる場所によって行きづらいエリアがある。

 私は埼玉の川口に住んでいるので、神奈川の相模原周辺や千葉の南房総エリアはきつい。秩父も同じ県内とはいえ気軽に行けるところでもない。

 ということもあって、ルートを思案した。

 29番の秩父と30番の加須。これを秩父鉄道を結んで1日で巡ってしまうのが良い。

 秩父鉄道の1日フリーパス(1440円)を利用すれば、乗り降り自由で秩父エリアの観光もできる。秩父鉄道の熊谷を起点とすれば、熊谷~野上~羽生でフリーパスの代金は十分元が取れてしまう。

 

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29番 洞昌院の最寄駅の野上駅

駅全体の雰囲気がレトロで、逆に新鮮で素敵だ。

ちょっと地方に行けば、このような駅がたくさんあるのだろう。

1日何万人の人が利用する駅ってなんなのだろう。都市部から離れ、こういう風景の中に入ることは大切だ。

 

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 ドラマや映画に登場しそうな駅構内(改札付近)。

カフェもコンビニもない、こういう情緒って好き。

 

さて、

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 のどかな秩父カントリーロードを約20分歩くと、山門に辿り着く。

ここは萩寺といわれていて、秋の七草の「萩」がたくさん群生している。

本殿に行くまでに、萩をかき分けていく。そんな感じだった。

 

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駅から徒歩20分程度と遠いだけに、静かで長閑だった。

訪れたとき参拝客は自分だけで、写経を納め、御朱印をいただく。

 

お寺の方がとても良い方で、般若心経の意味のさわりを話してくれた。

ミクロからマクロ。宇宙とは、人とは。本当の幸せ、ありがたいこととは何か。

そんな話を朝の9時にしていただいた(笑)。

 

 寺によっては(特に大きな寺)、無愛想で何も話さないところもある。対応しきれないから仕方がないが、参拝者になんらかの話をするのが本来のお寺の在り方ではないだろうか。

 

 

 

 

関東三十六不動 31番 彌勒密寺

その1。31番 岩槻大師 彌勒密寺 

 

 9月9日、重陽節句

 関東三十六不動巡りを始めてみようと思い、この日、岩槻大師へ行く予定だった。岩槻へは自転車で行く。(自転車:ミヤタ、ブルーのル・マン。高速長距離巡航ツーリング車(国産))

 その朝のこと。地元の川口市に九重神社というお宮がある。最近、そこの特徴的な御朱印をウエブで目にし、気になっていた。朝、目が覚めて、なんとなく九重神社のサイトを見たら、九重(ここのえ)だけに、9月9日の九重詣限定の御朱印をいただけることを知った。

 目覚めで入ってきた情報は何か縁があるのだろう。この機会に九重神社にも参拝してみよう。そういうことになった。

 

 まず、九重神社を目指す。

 地図でおおまかに位置をつかんでいたが、道沿いに案内板が見当たらず、数名の人に訊ねてようやく10時ごろに辿り着いた。

 境内に行くと、既に御朱印申込みの行列が出来ていた。結局50分くらい並んで、ようやく受付が回ってきて、仕上がり時間をうかがうと、なんと3時間程度かかるとのこと。3時間のロスは今日の予定が大きく狂うため、九重神社は岩槻へ行った後でもろってくることにした。

 九重神社では菊酒のお神酒をいただき、近所の密蔵院で休憩、一路、岩槻へ向かう。

 

 1時間半程度走って岩槻大師、弥勒蜜寺に到着する。

 1時ごろに着いたが境内には他の参拝客がいない。人がいないほうが落ち着けるので、これはツイている。

 参拝を済ませ、受付に行き、写経を納め、関東三十六不動巡り専用の御朱印帳表紙と御朱印をいただく。

 御本尊は五大明王となってる。御朱印にも5つの梵字が書かれているように見える。

 

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 ここは五大明王が御本尊だが、不動明王に対面し、ひらがなで書かれた真言を見ながら唱える。真言を覚えられないので、写真に撮った。後々見ながら暗記したい。

 

 「御真言は9回唱えてね」と受付のおば様がアドバイスしてくれた。

 9回唱える。9回には意味があるらしい。36不動の「36」は9の倍数でもある。9にどういう意味があるのだろう。4番目の素数でもある。1ケタ最後の素数。煩悩の数108は9×12だ。

 

 受付のおば様がとにかく元気で明るい。「全部回ったら、またここにおいで」と送り出してくれた。南関東に広がる三十六不動を果たして今年中に巡れるだろうか。かなり遠い場所もあるが、自転車で行けそうな場所は自転車で巡ることにする。

「大丈夫、お不動さんもお大師さんも逃げないから」と何気ないおば様の言葉にはっとした。

 そうか、御開帳の年とかは、所詮人間が決めたもの。その年に回りきるとかなんとかは本当のところは意味がない。もっといえば、36カ所のお不動さんを巡っても、なんら自分は変わらないし、運気があがることもないかもしれない。

 だって、すべては無で空であると般若心経にあるではないか。仏教の教えと札所めぐりにやや矛盾を感じつつも、まあいいか、頑張らずに時間に追われずにマイペースで巡ってみよう。そう思った。

 

 その後、九重神社に戻り、無事に御朱印をいただく。

 一般論として、御朱印はお寺の方が凝っているし、達筆だと思う。

 なぜなら、もともと寺に写経を納めた証として御朱印を出していた。寺が本筋であるし、寺の方は、常々、写経や葬祭など寺の用務として毛筆で書くことに慣れているからだ。

 

 関東三十六不動巡り、つづく。

メキシコのララムリ族と加藤君

 メキシコにララムリ族という素朴な暮らしをする民族がいて、山岳を舞台にするマラソンレースにその民族の方が参加した。スポーツウエアとランニングシューズの出で立ちではない。民族衣装というか、とにかくマラソンをする格好ではなくて、靴もサンダルだ。そして、上位をその民族の選手が獲得。そのため、マラソンの世界ではその民族が一躍有名になっているようだ。

 そのララムリ族はメキシコの山岳地域で暮らし、日々、山道を生活のために何キロも歩いている。標高がやや高い地域であり、日常の生活自体が低酸素の負荷がある中で、山岳レースのトレーニングになっているということだ。

 ララムリ族の選手たちは、特にマラソンの練習はしていない。しかし、スカート姿とサンダルで走ったララムリ族の女性が優勝したことさえある。

 このことを知った時、私は高校時代の同じクラスの加藤君を思い出した。

 彼は写真部だった。写真部といえば運動の疎く、体育系部活の人よりも体力に劣るというのが相場だ。しかし、高校行事のマラソン大会で、確か3位になった。かれは基礎体力、そもそもポテンシャルが高かった。見た目は確かにワイルドで豪快なところがあった。通学は自転車だったと思う。

 とにかく、息巻く野球部、サッカー部、ラグビー部を差し置いて、加藤君が3位に入ったことは珍事だった。地味でスポーツ的に無名だった彼が上位になったことについて校内で話題になったのか、なんとなく黙殺されたのかは記憶にない。

 さて、メキリコのララムリ族。

 こういう方たちを見ると、ヒトの強さの可能性を感じるし、いわゆる先進国で近代的なトレーニングメニューを一生懸命こなす選手たちは何なのだろうと思う。いわゆる恵まれた文明生活を私は捨てるつもりはないが、文明とか便利さから遠い人ほど、ヒトの本来の強さを引き出し開花させることができるのだと感じる。